やさしいベッドで半分死にたい【完】
故郷を思うような、愛の知らせのような、ただただ幸福な曲だった。あなたに捧げる曲だ。
最後の一音まで弾ききって、静かに鍵盤から指先を離した。反響していた音が途切れる。
瞑っていた瞼を開いた先で、花岡がやさしく微笑んでいた。同じく笑いたくなって、ホールの観客席から、いくつもの拍手が届いてくる。
誰かに見られていたと気づいて、すぐに振り返った。その先に、たくさんの見知った顔がある。
「え……」
「あまねちゃ~ん!! めっちゃいいぞ~!」
遠くから、声が飛んでくる。森山が叫んで、横で、アキオが号泣しているのが見えた。一番前の席で、おばあさんが拍手を送ってくれている。
まさか、見られているとは思わなかった。
夢中で弾き続けて、ただ、花岡に聴いてもらえれば、それでいいと思っていた。
ちっぽけな、私のエゴのような曲だった。町で出会ったやさしい人たちが、大粒の拍手を届けてくれている。
こんなにも、あたたかかった。
立ち上がって、たくさん叫んでくれている。みんな、私のことを知っていたのだ。
ずっと見守ってくれていた。スーパーのおじさんも、川で出会ったおばあさんも、みんな、私のことを知っていた。何も言わずに受け入れてくれていた。
ただ、寄り添ってくれていた。
最後の一音まで弾ききって、静かに鍵盤から指先を離した。反響していた音が途切れる。
瞑っていた瞼を開いた先で、花岡がやさしく微笑んでいた。同じく笑いたくなって、ホールの観客席から、いくつもの拍手が届いてくる。
誰かに見られていたと気づいて、すぐに振り返った。その先に、たくさんの見知った顔がある。
「え……」
「あまねちゃ~ん!! めっちゃいいぞ~!」
遠くから、声が飛んでくる。森山が叫んで、横で、アキオが号泣しているのが見えた。一番前の席で、おばあさんが拍手を送ってくれている。
まさか、見られているとは思わなかった。
夢中で弾き続けて、ただ、花岡に聴いてもらえれば、それでいいと思っていた。
ちっぽけな、私のエゴのような曲だった。町で出会ったやさしい人たちが、大粒の拍手を届けてくれている。
こんなにも、あたたかかった。
立ち上がって、たくさん叫んでくれている。みんな、私のことを知っていたのだ。
ずっと見守ってくれていた。スーパーのおじさんも、川で出会ったおばあさんも、みんな、私のことを知っていた。何も言わずに受け入れてくれていた。
ただ、寄り添ってくれていた。