やさしいベッドで半分死にたい【完】


すべてから隠すようなやさしさで、じんわりと涙が浮かんでくる。

泣かせるのが、上手な人だ。

困ったまま、必死で縋り付いている。もう、この熱には出会えないと思っていた。放してしまわなければならないと思っていた。この道の行く先には、絶対に連れ出せないと思っていた。

けれど、そんなにも愛おしく暑苦しいのに、ごまかしていられるわけもない。


「好きでたまらない男性も、花岡さんだけですよ」


打ち明けたら、簡単なことのように思えた。花岡は、私のことを大切にしてくれている。

私も花岡が好きだ。

それ以外の理由なんて、いくつ数えても意味のないことだ。花岡が愛する私をもう一度生きてみたい。あなたにかなう人間でありたいから、もう一度藤堂周として、咲いてみせたい。

そばにいたいと願うことは、それが、それだけが理由ではいけないのだろうか。


「……は?」

「気づいてなかったんですか。鈍感なマネージャーさんでよかったです」

「は? いつから」

「私は初めましてじゃないのに、はじめましてって挨拶するような人には、本当のことは話しません」

「お前な……」


本当は、はじめて出会った日には、惹かれてしまっていた。きっとそうだと思う。誰よりも、花岡の言葉を求めていた。

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