やさしいベッドで半分死にたい【完】
「ああ。全部もらってやる」
当然のように言ってくれた。抱きしめて、いつまでも離さないでいてくれる。やさしい匂いの人。私を絶対に見捨てない人。
「ふふ、残飯処理ですよ」
「そう思ってんのは周だけだ」
「……半分死にたいって思ってました。藤堂周を殺して、違うものになれたら、って、最近はずっと思い続けていました」
「でも、もうそんなこと思わないです」
私として生きてきた過去を後悔したりしない。
大切にしてもらったすべてを抱えて、藤堂周を全うしたい。
どんなにくるしくても、蔑まれても、がらくただと幻滅されても。
私は、花岡が抱きしめてくれる私を、絶対に見放したくない。間違えたら、いつだってここに戻ってこられる。失敗したら、どんなときでも抱きしめてくれる。
それだけで十分だ。
私を生きる。
理由なんて、あなた一人で十分だ。決意して、急激に肩から力が抜けてしまった。
いつものように、突然電池が切れてしまう。
花岡は、わかっていたように私の体を抱き起して、困ったような、やさしい表情を見せてくれる。何度も倒れてばかりだ。
やっぱり、いつも助けてくれるのは花岡だと思う。素敵な人に、こころは撃ちぬかれっぱなしだった。