やさしいベッドで半分死にたい【完】
「ああ、眠くなっちゃいました」
「ばか、頑張りすぎだ」
「ふふ、南朋さんが甘やかしてくれるって信じてたので、頑張れました」
「あまね」
「好きです。南朋さんの腕で眠りたい」
だから愛おしい人、困った私の癖を怒るのは、どうか目覚めた後にしてほしい。
言わなくても、とっくに甘やかす人が、額の髪を撫ぜた気がした。
「いくらでも」
うつくしいメロディが、耳元に囁き落とされた。
低く笑った声が、頬に寄せられる。幸福の匂いが香った。
もう少し起きていたいと思うのに、その人の指先が瞼をやさしく覆い隠したら、あっけなく、すべてがあわい眠りの底に、抱きかかえられてしまった。
やさしいあなたの腕で、私は今日も、私をはじめたい。