やさしいベッドで半分死にたい【完】
きずつかないで、あいするひとよ
何も言えないまま、黒い瞳を見つめていた。
相変わらずまっすぐに私の目を射抜いている。まぶしすぎて、見つめられるだけで恥ずかしくなってしまう視線だ。
口を噤んで黙っていれば、花岡の指が頬に迫る。もう何度も触れられているくせに、急激に恥ずかしくなって、たまらない。
どうして急に、私をほめようと思ったりしたのだろう。花岡の思考回路は全く分からない。彼は私のことを突拍子がないと言ったけれど、私も花岡の行動について、同じように思う。
嵐みたいな人だ。
あと少しで触れてしまう。事実を確認して、ぎゅっと瞼を下した。
一向に期待した熱が触れなくて、そろりと瞼を押し開いてみた。目の前の人は私から顔をそらして、違うところを見ている。同じように振り向いて、その場に昨日見た男性が立っていることに気づいた。
視線がぶつかって、即座に隣まで歩いてくる。ぎょっとしていれば、隣に座った人が、目の前に紙を差し出してきた。
“やっほー! 俺ナオの友達です”
でかでかと書かれた文字を読んで、ゆっくりと頷いた。耳に無数の穴が開いている。ピアスをたくさんつけていたのだろうか。ぼうっと見つめていれば、にっこりと微笑まれた。