やさしいベッドで半分死にたい【完】
あなたのあいは、よぞらにまたたく

たっぷりと抱きしめられて、ぽろぽろ泣いてしまった。

花岡は人の泣き顔を茶化したりするような人ではないから、ぐちゃぐちゃと頭を撫でたきり、私が取り乱したことについて触れてくることはなかった。

行きと同じように、帰りの道でも花岡の手に握られている。


美しいものに触れて、体の中に淀んでいたどろどろとした何かが流れ落ちていればいいと思う。

沈みかけた陽の光が、花岡の頬を照らしていいた。茜に染まる肌はあたたかみがあって、花岡によく似合っているような気がする。

花岡はわざわざマネジメントの道を選ばなくても、自分自身がタレントになれそうなくらい綺麗な顔立ちだと思う。

今更意識してしまう理由には、鍵をかけておこう。

一人で納得して、また、有無を言わせず花岡にドアを開かれて、助手席についた。シートベルトを着用している間に隣に花岡が来る。


あっという間の一日だった。

うつくしくて、やさしいものばかりがあった。この町が故郷なら、どれだけ幸せだろう。たまに帰ってきて、ぼうっとこの山でまどろんでいたい。その時、隣に花岡がいてくれるような想像をしてしまう自分がおかしかった。


「藤堂」

「はい」

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