残酷な天使に牙はない。




 「ナオちゃんは、いつになったらアランから卒業できるのかね〜」



 「黙れよ。つーかナオちゃん言うな。糞ロイ」



 「文句が多いなぁ、ナオちゃんは。糞とか言っちゃダメなんだよ?傷ついちゃうなぁ、ロイくん。あーあ、胸が痛い。グサッと来たよぉ……」




 大根役者のような下手くそな泣き真似をするロイの首筋に、昨日はなかったキスマークを見つけて、カオルはあからさまに顔を歪めた。




 「お前、また女遊びしてたのかよ。こりねぇーなぁ」



 「あはは、まぁね。ちょこっと繁華街ぶらぶら歩いてたら俺の好みのボンキュッボンの女の子がいてさぁ〜。しかも2人。俺が笑顔で今夜どう的な感じでお誘いしたら、もう楽勝だよね。そのままラブホに直行。クーポン券持ってたから、5時間コース。俺たち3人で。いやぁ……、いい汗かいたわ〜」




 相当な、当たりの女だったらしく、ロイの機嫌は最高に良かった。



 顔だけが取り柄と言っても過言ではないロイは、狙った女は百発百中。抱いた女は星の数ほど。



 後日談、ロイはやはり、処女の締まりが一番いいという。



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