残酷な天使に牙はない。
ここに集まる彼らは、顔面で選ばれたのかと思うほど整っていて、その中でもアランは別格だった。
イケメンにはイケメンが集まる。正にそれが証明されたかのように、彼らは出会い、今を共にしていた。
「まじでそういう話を俺の前でするな。不快。耳が腐る」
ナオはロイを睨みつけた。極度の女嫌いなナオにとって、事情の話は聞くだけで気分が悪くなる材料だった。
「ロイ、ほどほどにしないといつか刺されちゃうよ?」
「……、刺されてしまえ」
小さく呟いたつもりのナオだったが、この場にいる全員に聞こえたらしく、タマキは苦笑いを溢した。
「も〜、俺の味方はタマキだけだよ。ていうかナオ、俺よりもアランの方が女遊びひどいって、知ってるでしょ。なのに何で俺だけ〜?」
「はっ……。喧嘩売ってんのか?」
「嫌だねー。そんなんじゃ無いよ。ただ夢を見ているお子ちゃまに、現実を、教えてあげただけじゃないの〜」
ロイの、ゆるく、気だるげな喋り方と態度が、ナオのイライラをさらに倍増させた。