シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜

「恋々!」



「あ…雨登くん」



まだ考えがまとまってません


アレから

ずっと考えてる


ちゃんと考えてます

暫しお待ちください



「恋々、コレ食べる?
オレが最近ハマってるお菓子
自己紹介でお菓子が好きって言ってたから…」



なんだ…



「ありがと…」



キレイな色のグミだった



「恋々はどんなお菓子が好きなの?」



「最近ハマってるのは
チーズ味のプレッツェル
少し甘くて美味しいの!
あ!カバンにあったかな…

あった!
食べかけだけど食べる?」



雨登くんが笑った



「あ、ゴメンね…
今度、新しいの買ってくるね!」



「んーん、それでいい
別に食べかけで笑ったんじゃなくて
かわいいな…って思って…」



「え…」



「初めて恋々とちゃんと喋ったから
こんなふうに話すんだ…って…
ちょっとイメージと違ったから…」



そぉ…

ちゃんと話したこともなかった



なのに

カップル成立しようって

先に言われた



「他には?
他には何が好きなの?
お菓子以外に…」



「他には…
学校の購買のクリームパン!
飲み物ですか?ってくらい柔らかいの!

毎日食べたいけど
太るかな…とか
また事務所に怒られるかな…とか
気にして食べれないの

たまに友達から一口もらうけど
恋々、ひとくちがデカすぎ!って
いつも怒られるんだけどね…」



え…


雨登くん?

泣いてる?


悲しい話してないけど…


クリームパン嫌いだった?



「ごめん…恋々…

笑い堪えるのツライ…」



「え…私…そんな、別に…
変なこと言ったかな?」



「クリームパンのプレゼンが…
なんか、愛が溢れてて、笑える…

しかも、また食べ物だったから…

お菓子以外に
好きな音楽とか…
好きなアーティストとか…
趣味とか…
聞きたかった」



「あ、ごめん…私…」



「ぜんぜん、いんだけどね…

恋々のこと知りたいな…って
思っただけだから…」



「オレは
今ハマってることは
学校では昼休み鬼ごっこしてんの」



「鬼ごっこ?」



「うん、鬼ごっこ!
めっちゃ楽しいよ!
みんな本気だから、ちょお汗かく
午後の授業の前に着替える
ガチすぎて笑えるよね

あと、このマンガ面白いよ
送るから読んでみて…
あ、LINE教えてよ」



「うん…」



意外



私と同じ高校1年生なのに

大人っぽく見えてた雨登くんは

こんなに普通なんだ



普通の高校生



こんな表情もするんだ

こんなふうに笑うんだ



スマホを触る長くて細い指

キレイな爪の形



優しいいい匂いがして

柔らかい雰囲気を纏ってる



画面からは伝わってこなかった

雨登くん



瞬きした後

目が合うと

めっちゃドキドキする



優しい目なのに

目力スゴイ



破壊力ハンパない



こんな人の

彼女のフリなんて

やっぱり無理かも…



ピコン…



「送ったから
よかったら読んでみて…
って、オレもしつこいよね」



「うん、ありがと…」



ホント、普通の男子高校生



なんか

安心する



もっとすごい人なのかと思ってた



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