シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜

テストが終わって

明日は約束の30日



雨登くんに会える日



それから…

雨登くんと最後の日



会えるのに

寂しい



「恋々、テストどぉだった?」



今日も仕事の前に

雨登くんは電話してくれた



「んー、まぁまぁかな…
雨登くんは?」



「死んだ」



「雨登くん忙しいもんね
今日もこれから仕事だよね?」



「うん

恋々、明日、大丈夫?
忘れてない?」



「うん…
忘れてないよ」



会う約束も

2ヶ月の約束も



「恋々、やっと会えるね…」



「うん…」



会えるのに

お別れだよ



「恋々、会いたかった…」



「ホントに?」



「うん…

恋々に会いたいな…って
毎日思ってた」



これも

嘘なのかな?

恋人ごっこなのかな?



いつも本当だったら嬉しいな…って

思ってしまう



本気にしたら

バカだよね



「そーいえば、雨登くん!
前にもう1個言いたいことがあるって
言ってたよね?

また今度…って…
もぉ、忘れた?」



「あー…忘れてないよ」



別れる前に聞きたかった



「なに?
明日会うなら、明日でもいいけど…」



「明日は言えないかもしれないから
今日言ってもいい?」



「うん…いいけど…なに?」



明日は言えないことって何?



「恋々…
いつもありがと

それから…

好きだよ…
恋々、オレ…恋々が好きだよ」



「え…」



「別に深い意味はない
オレの気持ち」



「うん…」



「あ、時間だ…
マネージャー待ってる
じゃあ、明日ね!」



「うん、頑張ってね」



私も好きだよ

そう言ったらよかった?



雨登くんは恋愛ごっこかもしれないけど



私はね…



本当に雨登くんを好きになってるから

言えなかった



雨登くんの嘘に

本気で返したら

それも嘘になる気がして

嫌だったの



別れの日の前日に言われた

好き…は

嘘でも辛い


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