シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜
「恋々ちゃんのチョコバナナ
オレにも少しちょうだい!
あ~ん…」
好きな子にしか言わない
空くん
ホントに?
「ハイ…どーぞ…」
空くんにパンケーキのお皿を差し出した
「なんで?
食べさせてよ!」
「それは…
どんなふうに受け止めたらいいの?」
「え…?」
「あ~ん…て…
なんで…」
「え…別に意味とか…
恋々に食べさせてほしいな…って」
ドキン…
恋々
雨登くんは最初に喋った時から
恋々だった
空くんはさっきまで
恋々ちゃんだったのに…
急にそう呼ばれて
ドキッとした
「あの…私…」
「そんな困るなよ!」
「え…?」
「めっちゃ顔困ってる
…
いいよ
じゃあ、オレのキャラメルもあげる
ハイ…恋々ちゃん」
「うん…」
空くんとパンケーキのお皿を交換した
「オレもチョコバナナにすればよかったな…
恋々ちゃんは?
どっちが美味かった?
…
それとも…
来なきゃよかった?」
来なきゃよかった?
なんで
そんなこと聞くの?
「そんなこと思ってないよ」
「じゃあ、楽しみだった?
オレとパンケーキ食べに行くの」
「うん…
楽しみだったよ
空くんとパンケーキ行くの」
「ホント?嬉しい
オレも楽しみだった」
楽しみだった
だけど
それがどんな意味でなのかはわからない
学校の友達と放課後遊びに行く時も
楽しみだもん
野いちご学園で
学校以外の友達ができた
私も嬉しいよ
「恋々…
オレも呼んでみたかったんだ
困らせてごめんね…」
「困ったわけじゃないけど…
なんか、恥ずかしかったし…
…
あ~ん…とか…
慣れなくて…」
「雨登にはしてたのに?」
「アレは、カメラがあったから…
…
それに、
そんなこと好きな子にしか言わないって
雨登くんが言ってたから…」
「じゃあ、雨登も好きなんだね
恋々ちゃんのこと」
あ…
「オレも雨登が言ってること正しいと思う
オレは、恋々ちゃんのこと好きだから…
好意がなければ言わないよ」
え…
空くんは
私に好意を抱いてくれてる
じゃあ
雨登くんは…
ただ
嘘のカップル成立させて卒業したい
空くんには言えない
どっちの告白を受け取っても
誰かを裏切ることになる