シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜

「恋々
ライブして!だって…
コメントきてる
ライブする?」



「んー…」



そんなのもホントはどーでもいい



雨登くんが投稿するたび

私のフォロワーも増える



でもDMのアンチコメントも

比例して増えてた



〔雨登くんかわいそー〕

〔隣で笑ってないで!〕

〔なんでアンタなの?〕



またきてる



「じゃ、ライブするよー
恋々くっついて…」



「うん…」



《ライブを開始します》



雨登くんが画面に手を振ったから

私も隣で手を振った



〔雨登くん♡〕

〔恋々ちゃんもいる!〕

〔どこですか?〕

〔いいなー〕

〔ふたり最高♡〕

〔ふたりとも大好きです♡〕






どんどんくるコメント



嘘なのに…

みんなが羨むようなことはない



ただ大人気の雨登くんの隣にいる



デートぽい服装

デートぽい髪型

嘘のデート



胸が痛くて

苦しくなる



「恋々、みんながかわいって…」



「んー…」



「みんな言ってくれてるよ」



嘘…



裏では何言われてるかわからないよ



「恋々ちゃん笑って…だって…
恋々、笑って…」



雨登くんが私にスマホを傾けた



嘘の笑顔で手を振った



「じゃ、1回終わる
みんな、バイバーイ!」



《ライブが終了しました》



「恋々、疲れた?」



「んー…疲れてないけど…」



雨登くんと話したくなくて

スマホをチェックした



〔雨登くん独り占めしないで!〕

〔バカじゃないの?〕

〔ヘラヘラ笑ってんな!〕



独り占めなんてしてない

本気で笑ってなんかない



〔死ね死ね死ね死ね死ね〕



嫌なメッセージばかり目に止まる



もぉヤダな…



「飲み終わったら帰ろっか?」



今日は

もぉ終わりなんだ



「うん…」



「友達来てるみたいだから
オレ、一緒に遊んで帰るね」



「うん…」



「じゃーね…恋々
また連絡する」



一緒に帰んないんだ



せめて駅まで一緒かな…って

思ったのに



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