シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜

「雨登くん、コレ…
パーカーありがと
ずっと返してなくて、ごめんね」



「あー…ソレあげる
恋々に着てほしい」



「私がもらっても、いいの?」



「うん…恋々にもらってほしい」



「ありがと…」



コレも約束の日には返さなきゃ?



「あ、オレもお菓子渡すの忘れたわ
今日、持ってきたよ

ハイ…」



いちごのお菓子だった



「おいしそう!ありがと!」



「一緒に食べたいな…って思ってたのに
そしたら恋々帰ったし…」



サイテー…って

あの時は思った



何に腹を立ててたのかな



「ごめんね…」



雨登くんに彼女がいたこと?

私たちが嘘をついて付き合ってること?



「じゃあ、一緒に食べよっか…
ハイ…雨登くん」



袋から出して雨登くんに渡した



「食べさせてくれないの?」



「ん?」



「あ~ん…て…」



ドキン…



好きな人にしか言わないよ…



好きなフリ?



ズキン…



「そっか…約束だもんね…
ハイ…」



雨登くんの口にお菓子を入れた



「おいしい?雨登くん」



「なんか、素っ気ないね」



「それ、味の感想じゃないし…」



「じゃあ、次、恋々…
ハイ…あ~ん…」



雨登くんが私の口に入れてくれた



ドキドキ…

ドキドキ…



「おいしい?」



「んー…恥ずかしい…」



「それも味の感想じゃないし…
オレも恥ずかしくなるし…」



味の感想を言うなら

甘酸っぱくて

切ない味



切ないも

味じゃないのにね


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