不安になったら手を繋ごう。怖くなったらハグをしよう。
中庭でお昼を食べ終えた後、僕が菜月を抱き寄せてキスを何度も繰り返す。菜月は真っ赤な顔をしながらもキスに付き合ってくれる。

「凪兎くん、今度は私からしてもいい?」

唇が離れて少ししてから、菜月が僕を見つめながら言う。菜月からそんなことを言ってくれるなんて、一ヶ月にあるかないかだ。当然嬉しくて、僕は「嬉しい。して?」と目を閉じる。

チュッ、と小さくリップ音が響いて僕は薄っすらと目を開ける。菜月は何度も僕がしたようにキスを何度も繰り返そうとしていた。その様子がたまらなく愛おしくて、僕は菜月の綺麗な髪に触れてみる。

「ん?菜月、この傷って……」

髪がかかっていたせいでわからなかったが、菜月の白い首に真新しい傷が見えた。しかも何かで切ったようなもの。首なんて簡単に傷がつくような場所じゃないはずなんだけど……。

「な、何でもないよ。知らない間にできたみたい」

菜月は笑ってるけど、目がどこか泳いでいる。菜月は嘘を吐くのが下手だ。
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