オレにしか、触らせるな!

「永野さん…永野さん…
永野さん!」



壁に打ち当たって

上を見上げたら

棒くんが立ってた



いつもの制服じゃなくて

真っ白なTシャツの棒くんは眩しかった



「ずっと呼んでたのに…
オレ、無視されてた?」



「ごめん…聞こえなかった」



夏休みの夕方


コンビニ帰り

ひとりで食べるお弁当を買って来た



「久しぶりだね」



「うん
奏くんたち元気?」



「元気だよ」



「公園行ってもいないから…」



「夏休みは朝からやってるみたい」



「そっか…元気だね」



「永野さんは?
永野さんは、元気だった?」



「うん、元気…
今日ママいないから
夜食べるお弁当買いに来たの」



「そーなんだ
うちは今日はなんだろ
兄ちゃんが作る日だから…」



「棒くん
時間あったら、これからうち来ない?」



久しぶりに会った棒くんと

話したくなった



「ん…今日は、行かない」



「そっか…」



この間

楽しかったから



棒くんも

笑ってくれてたのに

そんなに楽しくなかった?



なんだ

私だけか…



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