オレにしか、触らせるな!

「おじゃまします」



棒くんが私の部屋に来た



嬉しかった



誘っても来てくれなかったのに

急にどぉしたんだろ?



「こっちとこっち
どっちがいい?」



「今日は右の気分かな…」



棒くんが選んだ右のCDを流した

『彼方のキミ』が入ってる方



「永野さん、なんか楽しそうだね」



「うん、棒くん来てくれたから
なんか嬉しくて…

なんで急に来てくれたの?」



「なんでかな…
来たくなった…」



「来てくれて、ありがと

この前ね
傑くんの家に誘われたの
新しいバンドのCD借りたから…って」



「行ったの?」



「んーん、行ってないよ」



「なんで、行かなかったの?」



「棒くんが行っちゃダメって言ってたから…」



「オレの言うこと、ちゃんと聞くんだね」



棒くんが苦笑いした



「アレ?嘘だった?」



「嘘じゃないよ」



「よかった」



棒くんが笑った

今度は苦笑いじゃない



「棒くん、なんで笑うの?」



「何がよかったのかな…って」



「うん、なんだろね
わかんないけど、よかった

わかんないけど、楽しいね」



「うん」



棒くんが笑うと

私も楽しくなるんだ



棒くんと一緒にいると

寂しくないんだ



棒くんは?

なんで

私といると笑ってくれるの?



わかんないけど

棒くんと

一緒にいたい



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