オレにしか、触らせるな!

「棒くん、大丈夫…?」



「…ん?」



「怖くない?
無理しなくて、いいからね」



私を抱きしめてくれる棒くんに言った



「うん…大丈夫…

永野さんは?大丈夫?
もぉ寂しくない?」



「うん…寂しくないよ

棒くんがいるから…」



「大丈夫…?
オレと恋愛できそう?」



「うん…できそう

初めてだよ
こんな気持ち」



「無理しなくていいからね」



「無理してないよ」



手を伸ばして

棒くんの髪を撫でた



サラサラの前髪の奥で目が合った



「好きだよ

棒くん…」



「ごめん

永野さん…」



「…ん?」



ごめん…

そのひとことで不安になる



「無理かも…」



「え…?」



ヤダ…棒くんに嫌われたくない



「ごめん…1回離れて…」



「うん…」



腕を緩めたら

棒くんの顔が見えた



「ん?

やっぱり、私のこと好きじゃない?」



「好きだよ

ごめん…
ドキドキしすぎて、無理…」



「ん?
それは…
そんな時は、どーしたらいいの?」



初めてだからわからないよ



「わかんない

オレも、わかんない」



ドキドキ…

ドキドキ…

ドキドキ…



「棒くん、大丈夫!
甘えてもいいからね…」



照れてる棒くんを抱きしめた



愛情は

注ぎすぎるとダメなのかな?



大きな棒くんが

私の腕の中で小さく感じた



その塊は

私の中で熱を放った



自分が抱くはずない感情だった



夏の夜に

ふたりの鼓動が

心地よく混ざり合った




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