オレにしか、触らせるな!

「覚えてないか…
ちょっと、ショックだな…
だよね…もぉ10年くらい経つもんね」



そう言って少し寂しそうにはにかむ顔は

あの頃を思い出させた



「合コン?」



オレ達のテーブルからその様子が見えてた

まさか彼女がいるとは思ってなかった



「うん」



「でも、彼氏いるんでしょ」



「うん、なんでわかるの?」



「そーゆー人じゃん」



「ヒドーイ!」



「現に当たったし…

今はどんな人と付き合ってんの?
会社の課長とか、部長?
それとも医者とか弁護士?」



「社長の息子」



「へー…らしいね…
そのバッグもその人が買ってくれたの?」



「コレは違うよ
自分の初任給全部使って買ったの!」



「ブランド好きだね」



「私のこと覚えてるんじゃん!
嬉しいな…

名前も覚えてるよね?」



「忘れた」



「ヒドーイ!」



オレは鼻で笑った



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