オレにしか、触らせるな!

颯と瑠愛ちゃんの結婚式の帰りの電車で



「傑くん!」



聞き覚えのある声が聞こえた



え…



目の前に小さな女性がいた



すぐわかった

渉香



去年会った時とは違って

髪も黒くなってて肩まで切ってあった



メイクも殆どしてなさそうで

オレが付き合ってた頃の渉香に近かった



だから

すぐわかった



鼻につく香水の匂いもしない



「今日は、ブランドのバッグじゃないの?
エコバッグ?
買い物の帰り?」



「エコバッグってヒドくない?
トートバッグだから!」



白いコットンのバッグに

白いノースリーブとショートパンツを履いてた



出てる肌も透けるように白かった



「合コンじゃないとノーメイクなんだね
手抜き?」



「ノーメイクじゃないよ!
ちゃんと日焼け止めも塗ってるし
わりとフルメイクなんだよね
もぉノーメイクで外出れる年齢じゃないから」



そう言って笑った渉香は

ブランドのバッグを持っていた日よりも

ずっとかわいかった



「へー…
彼氏変わったの?」



「ん?違うよ」



「じゃあ、もしかして結婚したとか?
それで、ちょっと落ち着いた?
次期社長夫人になれたんだ?」



「それも、違うよ!
まだ独身でした」



じゃあ、まだあの時の

社長の息子と付き合ってんだ



ま、オレに関係ない



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