オレにしか、触らせるな!

ピンポーン…



PM8:27



渉香!

のはずないか…



ガチャ…



ドアを開けたら

もぉ来ないと思ってた渉香が

雨に濡れて立ってた



「渉香…傘は?」



「ごめん…傑くん…

会いたくて…

会いたくて…

来ちゃった」



何か考える前に

狭い玄関で渉香を抱きしめた



「傑くん、あったかい…

でも、傑くん濡れちゃうよ」



渉香を濡らした雨を

全部吸い取るくらい

抱きしめた



オレだって

ずっと会いたくて

一緒にいたくて



ずっと

抱きしめたかった



肌を重ねたあの日も

酔ってたからじゃなくて



たぶん

ずっと

好きだった



抱きしめたかった



いつから…?



きっと

放課後キスした

あの日から…



「渉香、冷たい…
こんな身体冷やしたら
また風邪ひくよ…」



「ごめんね…

今日で最後にするから…」



「え…
最後って…
もぉ来ないの?」



「ん…
だって、傑くん
好きな人いるでしょ…」



「好きな人…?」



「ん…」



渉香は?

渉香も好きな人いるの?



なんで今日来たの?

なんで今日最後なの?



「うん…いるよ…」



渉香だよ…

そう言ったら、迷惑?



渉香もいるの?

好きな人



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