オレにしか、触らせるな!

外はまだモヤモヤしてた



私の気持ちもモヤモヤしてた



モヤモヤしてて

ドキドキしてる



なにかな?

この気持ち



ぬるくなったペットボトルに口をつけた



ソーダの先に

メガネをしてない棒くんが見えた



外の空気と

自分の身体が合ってないみたいで

気持ち悪かった



「今日、楽しかったな」



棒くんが言った



「うん…
棒くんて、あんなに笑うんだね」



「うん…
また永野さんに本当のオレ見せてしまった」



棒くんが少し恥ずかしそうに言った



「私も楽しかった」



「ホント?」



「うん、ホント」



「なら、よかった…」



「また行ってもいい?
棒くんの家」



「ん…
ダメ、かな…」



「なんで?」



「ん…
ダメかも…オレ…」



「そっか、家族にバレたらダメだもんね

じゃあ、今度は私の部屋に来てよ!

アパートで狭いけどね!
スピーカーもないけど…
クーラーはあるから!」



「んー…そーゆーことでもないけど…

うん…考えとく…」



棒くんは笑顔だったのに

その言葉は元気がなかった



楽しかったって言ってくれたのに

なにがダメなのかな?



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