オレにしか、触らせるな!

「あ、ここでいいよ!
ここからすぐだから!」



「うん…

永野さん…
オレもひとつだけ聞いてもいい?」



「ん?うん!なに?」



「あのさ…

この前のカラオケでも聞いたけど…
まだ、恋愛に興味ない?」



「んー…うん…
まだ、よくわかんない…」



「そっか…」



棒くん

どぉ思ったかな…



いい加減、変な子だと思うよね



棒くんは

少しずつ変わってきてるって

傑くん言ってたのに…



私は相変わらず…



「やっぱりおかしいよね?私
棒くんも思うでしょ!」



「いや…
永野さんのペースでいいと思う

無理することないよ」



「うん…」



棒くん

優しいな



「もうひとつ…
もぉ1個質問してい?」



「うん、なに?」



「この前、傑に抱きしめられた時…
どんな気持ちだった?」



「え…」



あの時…



「答えたくなければ…
答えなくていいよ」



「アレは、だから、傑くんがふざけて…」



「好き?
傑のこと…」



「好き…って…

棒くんだって
傑くんのこと好きなんでしょ!
それと同じだよ!」



「そっか…」



棒くん

今度は笑わないの?



腑に落ちない顔



赤だった信号が青になった



「永野さん、また明日ね…」



「うん、また明日…」



棒くんに手を振って信号を渡った



気持ちは楽しいのに

気分が重い



笑いたいのに

うまく笑えない



信号を渡りきって

後ろを振り向けなかった



棒くんはまだいてくれてるかな?

笑顔で私を見送ってくれてるかな?



それとも

もぉいないかな…



振り返るのがなんか不安で

真っ直ぐ進むのが

精一杯だった



気持ち悪いよ

暑さのせいかな?



< 93 / 272 >

この作品をシェア

pagetop