オレにしか、触らせるな!

「この前は、ごめんね…」



「ん?なにが?」



「突然、抱きしめたりして…」



「うん、大丈夫
冗談でしょ?
ちょっと揶揄っただけでしょ?」



「…
揶揄ってなんか、ないよ…」



「嘘…
だっていつも傑くん
ふざけてばっかりだし…」



「いつも、本気だよ…オレ」



「嘘?そーなの?」



「うん
あ、これからオレの家来ない?
新しいバンドのCD友達から借りたから」



「でも…」



「来てよ!
昨日、颯の家行ったでしょ
瑠愛ちゃん出てくるの見た」



「うん
でも、棒くんに
他の人の家行ったらダメだよって
言われたから…」



「へー…颯そんなこと言ったんだ」



「うん、だから、行かない
ごめんね」



「わかった

ねぇ、瑠愛ちゃん
オレと颯、どっちが好き?」



「傑くんと、棒くん?

そんなの、わかんないよ」



「じゃあ、今決めて!」



「決めれない」



「瑠愛ちゃん…
そーゆー時はさ
嘘でも目の前にいる
傑くんて言うんだよ」



「そんなの、嘘じゃん!」



「ホントに?嘘なの?」



「あ…」



「瑠愛ちゃん正直者!

知ってる?
人を気付けないための嘘なら
ついてもいんだよ

瑠愛ちゃん
いつも言ってるけど
オレ、瑠愛ちゃんのこと好きだよ

ホントだよ」



日は暮れそうなのに

セミがまだ元気に鳴いてた



傑くんの声は

暑いからか元気がなかった



明日から

夏休みが始まる



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