私しか、知らないで…

「ねぇ、何買って来たの?」



ダンボールの隙間から紫苑が覗いた



「あー、紫苑も食べる?
コレ、久しぶりに食べたくなったから…」



紫苑がよく食べてたエビのパスタ


パッケージが何度かリニューアルされて
味も少し変わったけど
たまに食べたくなった



「あー!私が好きだったヤツ!
うん、食べる」



そう言って紫苑は
ダンボールの隙間から
無理矢理オレの近くに来て口を開けた



オレはプラスチックのホークに
くるくる巻きつけて紫苑の口に入れた

この食べ方も前と同じ



「ん…おいしぃ…」



口いっぱいに入ったパスタを
飲み込む前に紫苑が言った



「ピーマン、私食べようか?」



「食べれるようになったから大丈夫」



「へー…」



何も変わってないようで
変わってた



変えてくれたのは

そぉ…



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