私しか、知らないで…

結局、狭いベッドにふたりで入った



「亜南がわからなくて…不安だった」



「不安?」



「うん、私のことどぉ思ってるのかな?って…

今も、あの時も…」



亜南て何考えてるかわかんない

そう言われていつもフラれてた



みんな去って行った



「あの時も、私は
付き合ってると思ってたのに…

賭けをして聞いたつもりなのに…

付き合ってないって言われた」



「ウソ…そぉだったの?

じゃあ、
オレが付き合ってるって言ってたら
ずっとオレの近くにいてくれたの?

他の人を選ばなかったの?」



「うん、かもね…」



「オレのせい?」



「うん…亜南のせい」



「ごめん…」



オレのせいで

紫苑のこと哀しませた?



でもオレとずっと一緒にいたら

もっと哀しませてたかもしれない



あの時のオレは子供すぎた

今も大人になりきれてないかもしれないけど…



ずっと一緒にいたら

今、こうして一緒にいなかったかもね



「大好きだった
亜南のこと

そぉじゃなかったら、キスなんかしない」



キスからオレたちの交際は始まってた?



「ごめん…
オレ、そーゆーの、わかんなくて…」



「ずっと、好きだった
忘れられなかった

あの人に抱かれても
亜南のこと考えてた」



亜南て変わってるね

みんなそぉ言って離れていくのに…



この人は

紫苑はオレをずっと想っててくれた

またオレの前に戻ってきてくれた



「嬉しかった
また会えて…

嬉しかった
私のこと嫌いになってなくて…

ありがとう
また好きになってくれて…」



「あのさ
また好きなんじゃなくて…

オレも…
オレもずっと好きだった

忘れられなかった、紫苑が」



「ンフ…亜南て、ホントわかんないね

そこが、大好き
もっと、もっと知りたくなる
亜南のこと…

教えて…亜南…」



「うん…」



ーーー



オレのくだらない話を

笑いながら聞いてくれるこの人



大切なことは言えないオレ



言わなくてもわかってると思ってたこと

話さなくても伝わると思ってた気持ち



亜南てわからないって言う女の子たち

亜南を知りたいって言ってくれるこの人



ーーーーー



「紫苑…好きだから…
大好きだから…」



こんな感情

この人にしか湧かない



「うん…」



「ちゃんと、伝わった?」



「うん、ちゃんと伝わってるよ」



いくつになっても恋愛ってわかんない



でも

この人を好きなことは

今もあの時も

オレでもわかる



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