私しか、知らないで…
花屋まで車で向かった
「花澤、なんか、変わったね」
「そぉかな…?
先生は、なんか、相変わらずだね」
「まぁね…
一生こんな感じだろーな…
どんな感じなのか
自分でもよくわからないけど…」
「先生ぽい…」
「笑うな
…
花澤、化粧してんの?
だから、なんか変わったのか!」
「んーん…今日はスッピン
北翔に会う時は少しするけど
しなくていいって言われる」
「んー…朝倉の言ってること
少しわかる気がする」
「へー…珍しく北翔と気が合うね」
「オレも朝倉と同じ人間の男だからな」
「へー…男目線てヤツですか?」
「んー…それかも…
あ、もしかして花澤
プチなんとか…ってヤツしたの?」
「プチ…?」
「そぉ、プチ…」
「ん?プチ整形?」
「そぉそぉソレ!」
「してません!」
「違ったか…」
「そんなに変わったかな?私」
「うん、綺麗になったよ」
「…」
「ん?聞こえなかった?
綺麗になった」
「聞こえたけど…」
「あ、セクハラになる?
もぉ卒業したし、生徒じゃないし、いいだろ」
「うん…」
「朝倉に怒られるか…
アイツ結構ヤキモチ妬きだろ」
「うん、なんでわかるの?」
「同じ、男だから…」
「へー…
ねぇ、先生…」
「ん?」
「もぉ、生徒じゃないけど
先生って呼んでもいい?」
「あぁ…でも、なんで?」
「新田さん達が先生のこと
いつも亜南て呼んでるの羨ましかったけど
私の中では、最後まで先生だったから…
…
ずっと先生でいて…」
「あぁ…
なんか、半端なく距離を離されたような…
線を引かれたような…
…
朝倉のこと、大好きなんだな」
「北翔は別に関係ないけど
でも、大好きだよ
北翔のこと…」
それを聞いて
やっぱりよかったって思えた
あの時
アレでよかったんだ
オレの選択は間違ってなかった
「はい、はい…」
「先生の奥さんになる人は
ヤキモチとか妬かないの?」
「あー、妬かなそぉだな」
「妬いてほしい?」
「いや…」
「どんな人?美人?」
「化粧しないと外出れないとか言ってるけど
化粧しない方が美人
…
自由で、わがまま、マイペース
…
でも、尊敬してる
オレにいろいろ教えてくれた人
…
オレにめちゃくちゃ惚れてる
って、勝手に思ってる」
「なにそれ…
先生ぽくない
こっちが照れちゃうよ
…
先生もかなりマイペースなのに
マイペース同士、合うの?」
「合ってるから
プロポーズするんだと思う
…
まぁ、断わられるかもしれないけどね」
「断わられたら先生どーするの?」
「一生独身
彼女意外とは、結婚しないと思う」
「へー…すごい…
私がどんなに頑張ってもダメだったんだね」
「ダメだったって言うか…
花澤には
もっと相応しい人がいるって言ったろ」
「うん、言った
ありがと、先生
教えてくれて」
「こっち見るな
…
真っ直ぐ前見てて…」
「なんで?
私が運転してるわけじゃないじゃん!」
「うん…
でも、見ないで…
…
照れるから…」
花澤がダメだったんじゃなくて
オレにももっと相応しい相手がいるって
ただそれだけだった