私しか、知らないで…

「先生…
始業式の日
この車に乗せてもらった時
好きになりそうだった

大人の男の人が
いつも男みたいに扱われてる私を
ちゃんと女の子扱いしてくれた

すごく嬉しかった

でもね
なんか変わってるな…って」



「なに、それ…笑うな!」



「うん、でも…
結局好きになって…
でも…結局実らなかった」



「いいじゃん!
今、幸せなんだし」



「うん、よかったよ
先生も幸せになってね!」



「うん…ありがと…
幸せにできるかな?
幸せにできたらいいな…」



「先生、大好きなんだね
彼女さんのこと

ずっとその話ばっかり

変わってないね
好きなことだと
ずっと話してるところ

ずっとその人のこと考えてるでしょ」



「うるさい…

花澤だって
朝倉のために綺麗になったんだろ
大好きなんだな、朝倉のこと」



「うん、だからさっき言ったでしょ!
北翔のこと大好きだって」



「はい、はい…」



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