私しか、知らないで…
電車から下りて花澤の手を繋いだ
少し緊張した
振り払われなくてよかった
「花澤…
さっき電車だったから言えなかった」
「ん?なに?」
「今日ずっと思ってたけど、言えなかった
いや、今日だけじゃなくて…」
「あ、わかった
ウザい…とか?
うるさい…とか?
あと…いつもなんて言われてるっけ?
あ、黙れ!とか?」
オレっていつも
花澤にそんなことしか言ってないんだ
ごめん
「違う…
…
かわいい
…
かわいいって、ずっと思ってたよ
…
ごめん、言葉にできなくて…
…
ごめん、素直に言えなくて…」
「え…ホントに…?」
「ホントに…
…
好き…香澄…
…
かわいい…」
「なんか、女の子みたいで嬉しい
…
香澄って…女の子みたい…」
「え、女だろ
オレ、男と付き合った覚えないし…」
当たり前のことなのに
今まで当たり前にしてあげれなかった
「オレ、男と手繋ぎたくないし
男とキスしたいと思わないから…」
さっきキスしたことが蘇った
あ、余計なこと言った