私しか、知らないで…

「ただいま
ごめん、香澄…
香澄の好きなアイス買って来た
香澄コレ好きだっ…」



さっきの場所で

オレが抱きしめた場所で

そのまま香澄は震えてた



「香澄?
そんな嫌だった?
ごめん、痛かった?」



香澄?



「嫌じゃ、ないよ…

ただ、ちょっと怖かった

思い出したの…
痴漢にあったこと

後ろから来られると、怖い

ごめん…北翔…
北翔のこと、嫌じゃないよ…」



「ごめん…香澄!

ずっと震えてた?
ごめん!
どーしよ…どーしたらいい?」



目の前で震える香澄がいるのに

どーしたらいいかわからなかった



「ん…
北翔…抱きしめて…」



「大丈夫…?」



「うん…
前から…前から抱きしめて…」



そう言った香澄を

前からゆっくり抱きしめた



「大丈夫…?」



「うん…ごめん…」



「謝んないで…
オレが悪かった

藤森にヤキモチ妬いて
勢いで香澄を抱きしめた

香澄に拒否されたと思って
ムカついてそのまま外に出た

オレってガキだな

いつまでも藤森に勝てない気がする」



「どぉしたら、勝ちなの?」



「ん?
どーしたら…

香澄が、全部オレのものになったら…

藤森が知らない香澄が見たい」



「北翔しか好きじゃないよ、私
それでもダメなの?」



「んーん…
ダメじゃないよ
ありがと」



少しだけ強く香澄を抱きしめた



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