私しか、知らないで…

「もしもし…見た?」



「うん、見た!
しーちゃんて、なんて名前なの?」



「シオン」



「あの時の花の名前だ!」



「もぉ、なんで…
しーちゃん、マジかよ…

オレ、アイツと親戚になるわけ?」



「うん、そーだね…

ビックリだね…」



「ねぇ、香澄笑ってる?」



「笑ってないよ…」



「いや、笑ってるだろ」



「お腹痛い…

だって、北翔と先生が…」



「やっぱ笑ってんじゃん!」



「先生、よかったな…って…」



「ホントにそぉ思ってる?」



「うん、思ってるよ

ドレス、あの時の花の色

綺麗…
よく似合ってる

いいな…」



「新婚旅行は南極みたいなとこ行くって…」



「南極?」



「んー…よく聞いてなかった
っていうか、藤森の話が長すぎて
途中で離脱した」



「南極って行けるのかな?
しかも新婚旅行」



「知らん」



「でも、いいな…

私もドレス着ていい?」



「え?」



「いつか私も
ドレス、着てもいいですか?」



「え…それって…」



「待ってるね

北翔のタイミングで…」



「うん…

いや、待って…
そーしたら香澄も
アイツの親戚になんじゃん!」



「あ、そーだね…

じゃあ、ダメ?」



「いや、ダメじゃないです!」



「結婚式には来てもらおーね!」



「うん…」



「北翔、今、耳赤いでしょ!」



「…知らん!」





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