許す事ができるの?
···会いたかった人
« コンコン »と
田辺さんがドアを開けると
受付の女性が
「社長より、お連れするようにと」
と、言われて女性が現れた。
「かぁ····さ··ん!」
「お義母さん!!」
由紀子は、健から連絡があり
どうしても、と頼まれやってきた。
「恵ちゃん。」
と、恵と抱きあった。
「恵ちゃん、ごめんなさいね
手紙が戻ってきた、なんて。
私は、恵ちゃんが私に気を使うのでは
ないかと思ってね。
あなたは、優しい子だから。」
と、言う由紀子に
「いいえ。離婚することになり
あんなに可愛がってもらっていたのに。」
「あなたは、なにも悪くない。
律が全部悪いのだから。
それに、あの人が孫に被害を
加えたとか。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
「お義母さんは、悪くない。
本当に、私はそんな風に思ってない。
お義母さんに会いたかっただけで。
すみません、私が我慢すれば良かったのに。」
「何を言ってるの。
恵ちゃんは、何を悪くない。
だから、私は頭にきて
律と縁を切ったの。
だけど、健さんから
どうしても、とお願いされて」
と、言ったから
「お義母さん、律には
優しい、兄弟がいたのですね。」
と、恵が言うと由紀子は、
嬉しそうに微笑んだ。
それから、恵は娘の咲茉を
由紀子に紹介した。
由紀子は、
「初めまして、青木 由紀子です。
咲茉ちゃんかな?
私は、咲茉ちゃんのおばあちゃんに
なります。宜しくお願いします。」
と、咲茉の視線に座り話をした。
咲茉は、一度、恵を見て
恵が微笑むと
「おばあちゃま?
荒垣 咲茉です。
小学一年生です。
宜しくお願いします。」
と、頭を下げた。
由紀子は、
「そう、咲茉ちゃんは、
一年生なんだね。
おめでとうございます。」
と、言うと咲茉は
嬉しそうにしていた。
矢野先生に、
「場所を変えましょうか?」
と、言われて
先生方は、お忙しいのに、と
改めて思い
お礼とお詫びをして
水島建設の社屋をでた。
気がついたときには、
陽史さんは、居なくなっていた。