許す事ができるの?
···対面···発作
« ピンポーン »
「はぁ~い」
「母さん、ただいま。」
と、言いながら
少し横にずれる陽史さん。
「あっ、初めまして
荒垣 恵と申します。
娘の咲茉です。」
と、二人で頭を下げる。
だが、陽史さんのお母様からは
何も言葉がなくて
やはり····と····
顔をあげると····
「母さん、恵と咲茉が挨拶なくて
びっくりしてるよ。」
と、陽史さん。
「···だ···っ··て··ご···っ··ごめんな···さいね··」
と、涙を拭きながら
話してくれるお母様に····
首をふりながら
「おじゃまいたします。」
と、再度頭を下げる。
「ようこそ、いらっしゃいました。
どうぞ、お上がり下さい。」
と、涙を拭きながら
お母様に言われて
陽史さんにたくされながら
咲茉と二人、上がらせて頂く。
お母様を先頭に陽史さん
咲茉、私と続いて行くと
リビングダイニングのソファーに
ダンディな男性と
若い男女が座っていた。
が、女性の方はすぐに立ち上がった。
そこでも、陽史さんは
「父さん、ただいま。
耕史(こうじ)菫(すみれ)さん
ただいま。」
と、言った。
陽史さんの横に立ち
「初めまして
荒垣 恵と申します。
それから、娘の咲茉です。」
と、言い二人で頭を下げると
「いらっしゃい。
どうぞ、お座りください。
妻の涙にびっくりされたでしょう?」
と、お父様に言われて
陽史さんの顔を見上げると
陽史さんは、私を見て
笑ってくれたから
「はい。少しだけ。」
と、答えると
お父様は、笑いながら
「陽史が、女性を連れてくるなんて
本当に思ってもいなかったのです。
驚かせてしまい、すみませんでした。」
と、言うお父様
「いえ、私は····
と、説明しようとすると
陽史さんが、私の手の上に手を置いて
「恵は、嫌われたのではないかと
思ったんだよ。」
と、言うと
「嫌うなんて、あり得ません。
こんなきれいな女性と
こんな可愛らしお嬢さんを。」
と、お母様に力説されて
真っ赤になってしまった。
そこで····
「父さん、母さん。
ずっと心配かけてごめん。
俺、やっと、本当にやっと
ずっと一緒に生きて行きたいと
思う人に出会ったんだ。
恵と結婚したいと思っている。
もちろん、恵にもきちんと
気持ちを伝えているし
咲茉にも、きちんと
気持ちを聞いてもらっている。
それで、三人で一緒に暮らす事に
したから、両親に会って欲しいと
二人にお願いしたんだ。」
と、言った。
すると
「挨拶が遅くなりました。
私は、陽史の父親です。
こちらは、妻です。
そして、陽史の弟の耕史と耕史の妻の
菫です。」
と、お父様に紹介されて
皆様に頭を下げる。
「恵さんと呼ばせて頂いても
良いですか?」
と、お父様に言われて
「はい。」
と、答える。
「ぶっきらぼうで配慮にかける
ところもあると思います
ですが、根は優しい子です。
陽史を宜しくお願い致します。」
と、お父様が言うと
お母様と二人で頭を下げられて
「頭をあげてください。
私と娘の方が、とても大切に大事に
していただいています。」
と、言うと
お父様もお母様も、嬉しそうに
微笑んでくれた。
「で?どんな風に知り合ったのですか?」
と、弟の耕史さんが
「「「耕史!こうじ。こうちゃん」」」
と、お父様、お母様、菫さんが。
だから、私は陽史さんとの
出会いを話す中····
事故の話はしなくてはならない。
陽史さんは、心配そうに私を見るから
首を横にふる。
咲茉も陽史さんもいるから
発作?が出ても対応できると
やはり····身体にふるえが···出て
咲茉は、
「お母さん、大丈夫。
私は、ここにいるよ。」
と、背中を撫でてくれていた。
陽史さんが
「咲茉、ありがとう。
俺が、代わるね。」
と、言うと咲茉が頷き
陽史は、恵を抱きあげて
自分の中に抱き締めて
「恵、大丈夫。大丈夫だよ。
咲茉は、ここにいる。
どこにもいかない。」
と、背中をトントンとする。
「お母さん、こうなるの。
その時、お父さんいないと
ダメなの。」
と、咲茉は陽史の両親や弟夫婦に
言いながら、陽史の腕に手を置いていた。
そんな、三人を見て
陽史の両親は安心し
耕史は、申し訳ないと思っていた。
少しすると恵は、落ち着き
陽史がソファーに下ろし
「恵、大丈夫?身体負担ない?」
と、言う
恵が
「ごめん。大丈夫。」
と、言うと
陽史は、頭をふる
耕史は、
「すみません。俺が···」
と、言うと
「いいえ。みっともない姿を
お見せして申し訳ありません。」
と、恵が被せて言った
陽史の弟・耕史さんは悪くないから。
すると、
「みっともなくないよ。
俺は、役得だと思っているし。」
と、言う陽史さんに
皆笑いだして、恵はホッとした。