許す事ができるの?
「律君のお嫁さん
確かに綺麗だったけど
俺の恵に勝るものはないね
恵が一番美しい。」
と、耳元で話す陽史に
真っ赤になりながら
見つめ返すと·····
「ん?」と、言いながら
私の頬にキスをするから
尚、真っ赤になってしまった
何年一緒にいても
陽史の私への愛情は揺るがない。
もちろん、それは二人の子供達にも
代わりはない。
陽史は、咲茉も誠史も
目に入れても痛くない?
と、言われるほど可愛がり慈しむ。
誰も咲茉と血の繋がりがないとは
思わないだろう。
今日は、陽史が勤める高校の
文化祭が行われている。
咲茉が、「行ってみたい。」
と、言うので少しだけ
覗いてみることに。
····すると·····
「先生、暇でしょ?
一緒に回りましょうよ。」
と、頭1つ以上飛び出ているのは
····陽史·····
回りには、女子高校生が7、8人
身長も高く、顔も綺麗な陽史は
モテルだろうとは
思っていたが·····
誠史と咲茉に
« しーっ »と指を立てる
咲茉は、笑っているが
誠史は、パパ大好きだから
パパの元へ行きたいようだ。
「私は暇じゃない。
さっさと、行って来なさい。」
と、冷たくあしらう陽史に
「先生も、回るのなら
一緒でいいじゃない。」
と、食い下がる生徒達に
陽史は、はぁっと
嫌そうにため息をつく
我が家では、あり得ない態度の陽史に
助け船をだしてあげることに·····
と、誠史が·····
やった!とばかりに
「パパ!!」
と、呼びながら走りだす
陽史は、首を動かし声の主を探す
と······
誠史をとらえると
顔がガラリと変わる
学生の間を抜けて
誠史を抱き上げた。
「誠史、どうしたの?」
「お姉ちゃんが行くって。」
と、答えると
陽史が私と咲茉を捕らえて
またまた、顔が変わる
「お父さんって。
ほんとに、お母さん
大好きだよね?
見て、あのだらしない顔。」
と、咲茉がヒソヒソと私にいうから
「あら、あなたも含めて
あの顔よ。」
と、答えると
「あ~、そうだね。」
と、クスクス笑う咲茉。
誠史を抱いたまま
こちらにやってくる陽史
「来るなら、来ると連絡してよ。」
と、言うから
「ごめんね。
少しだけ見たら、帰るつもりだったの。」
と、私が答えると
「えっ、俺も、一緒に帰るよ。」
と、言うから
「お父さん、良いの?」
と、咲茉が後の学生達の事を言うと
陽史は、後を振り向いて
「愛する妻と
可愛い子供達が来たから失礼するよ。」
と、言いながら
誠史を抱いていない手で
恵の手を取り繋ぐ。
誠史は、陽史の首に腕を回し
後の学生達に手をふっていた。
恵は、学生達に頭を下げてから
四人で文化祭を見て回る。
「お父さん、月曜日には、
上杉先生は、奥さんや子供に
甘いんだよ。
と、言われているよ。きっと。」
と、笑いながら言う咲茉に
「うん、そうかな。
でも、本当の話だからね。」
と、呑気に答える陽史に
私は、笑ってしまった。
あちこちを見て回り
終始私から離れない陽史。
きっと、月曜日はすごい事に
なっている····かな·····