こんな思いを···いつまで

···秋穂様と三井様


ひまりちゃんが帰ってから···

「お母さん、宜しいのですか?」
「あなたが、もう少し若ければ
あなたが、ひまりちゃんを
幸せにしてくれたら良かったのに。」
「あんな美しい子なら
喜んで、と言いたい所ですが
私は、清香にベタぼれですので。
申し訳ありません。」
「うふっ、よいのです。
清香さんの事は、私も大好きですから。
話しは反れましたが
あの鮎川さんには、腹に据えかねます。
自分の娘に対して
ああーも、非情な事が
できるのかと。
奥様は、ご病気で亡くなったのに
お母様も····。
全てを、ひまりちゃんのせいにして。
その上、大倉財閥の息子には
恋人がいたのでは?」
「はい。どうやら愛人にするようで。
鮎川さんが、良く思っていないようです。
女の方が騒がないと
よいのですが。」
「愛人だなんて。
女性にも失礼だわ。
大倉さんも何を考えてるやら。
大倉の理佐さんは、
私達の後輩になるのだけど。
しっかりされていた方でしたが⋅⋅⋅。」

「どちらにしても
ひまりちゃんが、
これ以上、辛い思いをしないと
よいのですが。」
「三菱財閥や住友財閥とは
話が進んでいますか?」
「はい。提携の話しは問題なく
お母さんのお陰です。
三菱も住友の総帥も母親には、
弱いらしく·····。」
「三菱の宮子ちゃんも
住友の叶ちゃんも
同級生で仲良しだから。
鮎川のさっちゃんも··だったのに。」
「それと、アメリカ最大財閥の
モルガンが私達との提携をと。」
「白々しい。マシュー君でしょ。
あなたがアメリカで研修中に
仲良くなった。」
「覚えていらっしゃいましたか?
マシューが、
日本の情報を耳にしたらしく。
まぁ、モルガンでしたら
こちらとしても願ったりで。
三菱さんも住友さんも喜んでいましたよ。
近々、来日します。」
「三菱や住友にご迷惑かけないように
してちょうだい。
ひまりちゃんの件は、様子をみます。」
と、言った。

これ以上、なにかするなら
私にも考えがありますからね
鮎川さん。

三井の前総帥(秋穂の夫)は、
10年前、病気で亡くなった。
息子の充彦が総帥についた。
充彦が安定して継げているのは
母・秋穂のバックアップが
あったからだ。

三菱総帥母、住友総帥母が
母・秋穂と同級生で特に仲が良かった事で
「「協力しなさい、助けてあげなさい。」」
と、言ってくれたお陰だ。

充彦は、父より母の方が
経営にむいているのでは
と、ずっと思っていたから
母親に絶大な信頼があった。

母は、財閥の娘であるが
父は、銀行員だった
もちろん、充彦の妻・清香も財閥とは
関係ない老舗の呉服屋の娘だ。

充彦も秋穂も
土台がしっかりしていれば
財閥同士が政略結婚を
する必要はない
そんな考えだ。

その変わり経営に不安がないように
三井は、三井なりに
従業員とその家族を守る為に
躍進する。
穏やかな充彦だが
商才に長けている。
秋穂は、そんな息子を安心して
見ていた。
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