こんな思いを···いつまで
二話···父からの呼び出し
···ひまり編
鮎川財閥・総帥である父親より
大学の卒業前に
「自宅へ来なさい。」
と、呼ばれた。
父とは、物心がついてから
会った事も、話した事もなかった。
いつも秘書を通して···だったから。
私は、父の親・私の祖母に
母が亡くなってから育てられた。
祖母は、とても優しい方で
本当に可愛がってもらった。
そんな祖母が亡くなったのは
私が高校二年生の時で
その時、通夜で会った父は、
私に激高して
「お前は、疫病神だ!
私の母も私の妻も
お前と一緒いたから亡くなった。
金輪際私に近づくな。
良いな!!」
と、言われ私は鮎川の自宅から
追い出された。
祖母は、こうなることを
見越して、私に話をしてくれていた。
私は、祖母の言われた通りに
ある女性と会った。
その方は、三井 秋穂様
三井財閥総帥のお母様だ。
秋穂様からマンションを見せられて
「今日からこちらに住みなさい。」
と、言って貰えた。
「大体の物は揃えていますから
あとは、ひまりちゃんが必要な物だけ
持ち込めば大丈夫よ。」
と、言われて
「ありがとうございます。
なんと、お礼を言えばよいのか····」
と、言うと
「あなたは、何も悪くない。
鮎川さんは、おかしいわよ。
こんな綺麗で可愛い娘さんを。
今からは、私を頼りなさい。
さっちゃんと私は大親友なのよ。」
と、言われて、恥ずかしながら
私は声をあげて泣いてしまった。
たった一人の肉親だと
思っていた祖母を亡くして
寂しさを···辛さを····
誰にも言えなくて····
秋穂様は、ずっと私の背中を
撫でてくれた。
それから、マンションまで
送って頂いて、一人暮らしが
始まった。
秋穂様は、帰りに私に紙袋を
渡してから帰って行った。
その中身は、携帯だった。
私は、携帯をずっと
持っていなかった。
誰には連絡を取る人がいなかったから
必要がなかったのだ。
だが、その携帯には
秋穂様の番号が登録されていた。
大学を選択する時も
秋穂様に相談して
お茶の水に決めた。
私は、おばあ様からピアノと料理は、
教えてもらっていたので
大学は、ピアノ科を専攻した。