こんな思いを···いつまで
八話···同居
···ひまり
婚姻届を市役所へと····
「如何されましたか?
どのようなご用件で?」
と、入口で声をかけられた。
にっこり笑うその方に····
「申し訳ありません。
また、出直します。」
と、伝えてから市役所に背中を向ける。
私の最後の抵抗···だろうか···
決して、許される事でないが····
そのまま、秋穂様から
お借りした部屋に戻り
引っ越しの業者を待つ
緊張から手に汗をかく
父にバレたら···
だが、どうしても
大倉には、なりたくなかった····
鮎川も、嫌だが····
祖母と母との唯一の繋がり···だから···
業者の方が荷物を運び出していく
ソファーと鏡台
後は服などが入った箱を少し。
秋穂様が·····
「どうしても必要なものだけ
持って行きなさい。
後は、部屋にそのまま置いて
一人になりたい時には
こちらに帰って来なさい。」
と、言ってくれた。
本当に嬉しくて、涙が溢れ····た····
ソファーは、ベッドになるから
そのために、持って行く
後の物は、秋穂様のお言葉に甘えて
全て置いていく。
大倉様の部屋は、27階で
3LDkだった。
・キッチン
・リビングダイニング
・トイレにお風呂
脱衣室も広い
・後部屋が3つ
寝室・書斎と予備の部屋
この予備の部屋に
私の荷物を搬入してもらった。
部屋に着いている
クローゼットに持ってきた服をかけ
キッチンへ行ってみる
新品で使った事がないようだ。
電化製品も全て綺麗だ。
一体、食事をどうしていたのやら
まぁ、どうでもよいと
冷蔵庫を開けて見ると
ミネラルウォーターと
ビールだけ·····飽きれる
それから買い物へ行く
マンションの回りの地形が
知りたかったから。
近くにスーパーや
コンビニ、ドラッグストアもある
夕飯や必要な物を買い
料理を作り
お風呂を洗い
お湯をためる。
何時に帰るのかも知らないが
お互い連絡先も知らないから
と、思っていると
玄関を開ける音がした。
リビングを出て
「帰りなさいませ」
と、言うと
「ただいま。
引っ越しは、無事に終わったの?」
「はい。終わりました。
食事の準備は出来ておりますが
お風呂が先でしょうか?」
「ありがとう。先にお風呂に入るよ。」
と、言いながら
脱衣室に入っていく
着替えも持たずに
脱衣室の何処かに置いてあるの
だろうか
と、思いながら
キッチンに戻った。
すると
「しずか!着替え!!」
と、脱衣室から声が
ああ~、あの方ね
と、思いながら
「山本さんにご用でしたら
連絡致しますか?」
と、脱衣室の外から
声をかけると
息を飲む音が聞こえたが
彼は、何も答えなかったから
私は、その場を離れた。