こんな思いを···いつまで
十一話···動き出す

···ひまり


二日間、会社を休んだ。

山内さんからは、
心配の電話やLINEが来ていた。

本当に優しくしていただいて····


休んでいる夜に
秋穂様からのお迎えの車が来て
それに乗り秋穂様の元へ。

到着すると
直ぐに案内された部屋には
秋穂様と充彦様がいらした。

秋穂様は、私の姿を見るなり
かけよって私を抱き締めてくれた。

「秋穂様····
   ありがとうございます。」
と、言うと
私の頬をお辛そうに見ながら撫でてくれた。

充彦様は、心配そうな顔をされていた。

私は、秋穂様の横に座らされて
「今から、大切な話をするね。」
と、充彦様から言われた。

「充彦、その前に。
ひまりちゃんに確認したいことがあるの
良いかしら?」
と、秋穂様に言われて頷くと
「鮎川に未練はない?」
「はい。」
「父親に対しても?」
「はい。」
「大倉には?」
「ありません。
ですが、会社の山内さんと
社長秘書の菅さんご夫婦には
お世話になりました。」
と、伝えると
「そう、わかりました。
充彦が今から話す事は
財閥が大きく動きます。
それにひまりちゃん
あなた自身にも大きく。」
と、言われて
私は、秋穂様と充彦様に対して
絶大な信頼を持っている
だからお二人から言われる事なら
問題はない。

お二人を見て大きく頷くと
「ひまりちゃん、
大倉 翼君との婚姻届提出してないよね。」
と、充彦様に言われてびっくりすると
「出してくれなくて良かったよ。
ひまりちゃんは、
鮎川から戸籍は外したよ。
それに大倉のあのバカ息子の
やったことは許さないから
警察につき出しても良いけど
それは、ひまりちゃんも
傷つくから、別の方法に使うね。
大倉、鮎川、両財閥が
生き残れるかわからないけどね。
三井だけでなく
三菱、住友の母親達も怒っていてね。
明日、財閥が集まるから
その時に、全ての方をつけるからね。」
と、言われた。

内容は、深くわからないが
「宜しくお願いします。」
と、頭を下げた。

そこへ·····

« コンコン »と、ノックの音
入ってこられたのは
先日会社に見えたモルガン様

モルガン様は、優しい眼差しで
私を見る
その眼差しに思わず微笑むと
モルガン様は、ツカツカと来て
いきなり私を抱き締めたから
「きゃっ」と、声がでると
『怖い?』と、訊かれ
怖いのではなく、
びっくりしただけだったから
首をふり
『びっくりしました。』
と、言うと
モルガン様は、ホッとされたのか
肩の力を抜きながら
『ひまり、覚えて置いて
僕は、君を愛してる
誰よりも君だけを。
忘れないで、いつも君を想っている。
できれば、ひまりにも
僕を好きになってもらいたい。』
と、言われて
頭にキスを落とされた。

身体に力が入ったが
嫌ではなかった。

彼が、本当に私の事を想ってくれて
いるのが伝わってきたからかなぁ···と。
『モルガン様、ありがとうございます。』
と、言うと
『ひまり、マシューと呼んで欲しい。』
と、言われて
『マシュー···様····』
『ダメダメ、マシューね』
『·ん?····マシュー····』
と、呼ぶと嬉しそうに
『上手。上手。』
と、マシューに頭を撫でられる。

『マシュー、もう良いだろう?』
と、充彦様に言われて
秋穂様、充彦様がいるのを忘れていた。
と、思ったらお二人は
優しく微笑まれていた。

それからは、五人で食事をした。
充彦様の奥様の清香様も一緒に
清香様は、美しくとても優しいお方で
私の事も気にかけてくれている。

その間もマシューは、
私の隣でニコニコして
私の手を触ったり、繋いだり
『美味しいね』
と、私の顔を見つめるから
こちらの方が恥ずかしくなる
『おい、マシュー、いい加減にしろよ。』
と、充彦様が笑いながら
マシューに言うと
マシューが
『いいの。充彦には清香ちゃんが
いるでしょ。』
と、言って睨む
二人は仲良しなんだなぁと
クスクスっ笑ってしまう。

マシューは、息を飲み
私を抱き締め
秋穂様も充彦様も清香様も
嬉しそうに笑っていた。
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