こんな思いを···いつまで
十二話···決戦
···突きつける
三井財閥の顧問弁護士に
依頼していた書類が完成した。
三菱、住友の総帥とも話しあった。
三菱も住友にも関係ないのに
巻き込んで申し訳ないと思うが····
どちらの総帥も
利益も大事だが
母親からの頼みは絶対だと言ってくれた。
まして、アメリカ最大財閥の
モルガンが動いていると
なれば、面白いと言ってくれた。
今日は、三井、三菱、住友財閥の
集まりに大倉と鮎川を招待した。
浅野、古河、安田財閥には、
関係ないから呼んでいない。
三菱、住友財閥の総帥と
充彦が談笑しているときに
ノックの音と共に
鮎川と大倉財閥の総帥が
入ってきた。
二人は、上記財閥の総帥方が
いるのはわかっていても
身構えてしまう。
三財閥の総帥は、
若く30代か40代だ。
若造どもだが財閥としては
桁が違う。
「本日は、お招き頂きまして」
「三財閥お揃いで」
と、二人(鮎川・大倉)が、声をかけると
「鮎川様、大倉様、
お座り下さい。」
と、充彦が言うと
二人は腰を下ろす。
各々の総帥の後には秘書が立つ
大倉の友章と鮎川の博が座ると
お茶が配られ
財閥同士の報告が行われ
鮎川・博が
「ご存知かと思われますが
我が鮎川財閥と大倉財閥は
提携致しましたので改めて
ご報告致します。」
「ほぅ、そうですか?
それは、大きな利益ですね。
どのような形の提携ですか?」
と、三菱の総帥が訊ねた。
ひまり達の婚約発表に
三井財閥は、出席したが
三菱、住友の総帥は欠席だった。
それを思い
「大倉財閥の長男である翼君と
私の娘のひまりが婚姻を結びまして。」
と、言うと
三財閥の総帥と秘書達がざわつくのを
見て、何事かと思っていると
住友財閥の総帥が
「鮎川財閥には娘さんが
いらしたのですか?
一度も見かけた事もありませんが
それは、それは、
大事に大切にされて
隠されていたのですね。」
と、言うと
「ああ、まぁ。そうです。」
と、鮎川・博は答えた。
「それは、おめでたい。
ご子息とご令嬢は、
幸せに暮らしていらっしゃる事で
おめでたい話しも直ぐに聞けますかな?」
と、三菱の総帥。
二人は、顔を合わせて
「「まぁ、そうですな。」」
と、大倉総帥と鮎川総帥
「あなた方二人は、
何も知らないのですね?」
と、充彦が二人を見て言うと
「なにを」と、鮎川総帥
「それは?」と、大倉総帥
その姿を見ながら
充彦の秘書がドアを開けると
大倉の翼と静が、部屋へ入って来た
「お父··総帥、これは?」
と、翼は、三菱、住友、三井の
総帥方がいるのに驚きながら。
鮎川と大倉の総帥には
静が入ってきて直ぐにわかった。
鮎川・博は、大倉・友章を睨みつける。
「こちらの女性、山本 静さんは、
大倉 翼さんの愛人であるとか。
おかわいそうに、この若さで愛人など。
お二人はお付き合いしていたのを
財閥提携の犠牲になられたのでは?」
と、充彦が静を見ると
静は、驚きながらも
充彦の容姿に見とれていた···が
「ああ、静さん、
お腹の赤ちゃんは順調ですか?」
と、問うと
「あっ、はい。」
と、答える静に
大倉の総帥は、鮎川の総帥を見る。
鮎川・博は、怒りの顔をしていたが
懸命にそれをおさえ
「愛人がいるのは、よくあること。
まして、愛人の子であっても
大倉財閥には、跡取りに
なるやもしれません。
我が鮎川の娘と大倉の翼君は
夫婦であるわけですから
その二人と両財閥が
それで良いなら
あなた方、三財閥には関係ない
話ではありませんか?」
と、鮎川総帥の博が言うと
一同は、みな黙る。