こんな思いを···いつまで
十七話···それから
···ひまり①
ひまりは、アークを育てながら
マシューの許可を得て
ボランティアでピアノを
弾いている。
ピアノを教えると言う夢は
実現させることは出来ないと言う
マシューに
これだけで十分だと
伝えている。
これだけでも
私が動けば、かなりの人が
動くのだから。
だけど、親のいない子供達や
病気で病院からでれない子供達に
少しでも安らげる時間になればと
思っていた。
気休めと言われるかもしれない
偽善と言われるかもしれない
だけど、少しでも寄り添いたい···と。
だけど·····
自分は、ピアノしかなかった。
祖母を失くしてからも
一人でピアノをひたすら弾いた
ピアノだけが、自分の癒しだったから
子供達にも
ほんの少しでも癒しになれたら···と。
アークは、私が不在の時間は
家庭教師から色んな事を習う
『ただいま、アーク。』
と、声をかけると
『かあさま!!』
と、ぱぁと、輝く笑顔を向ける
アークを膝立ちで抱き締める
『先生方の言われる事を
きちんと学べた?』
『はい。かあさま。
先生は、皆さん優しくて。』
『良かったね。』
と、言う私に笑顔で
『はい。』
と、元気に答える
アークのマシューと同じ
ブルーグレーの瞳が輝いている。
先生方に挨拶をして
先生方も一緒にお茶を頂く。
先生方から、アークの優秀さを
教えてもらい
アークの頭を撫でると
アークは、嬉しそうに
私を見上げる。
そこに
『さすがだな。
私の子、アーク。』
『とうさま!!』
と、アークは、かけていき
マシューに飛び付く
マシューは、アークの頬にキスし
立ち上がったひまりを抱き締めて
頬にキスをする。
先生方は立ちあがり
マシューに頭をさげる。
マシューは、先生方に
挨拶をすると
『少し、書斎にこもる。』
と、ひまりに伝えた。
マシューは、出来るだけ
ひまりとアークと一緒にいる時間を
さいてくれている。
無理はしないで
と、伝えるが·····
自分が一緒にいたいからだと
いってくれる。
アークは、
マシューが大好きで
本当にマシューの子だと
思えてしまう。
本当に、マシューは
不思議な人だ。