「好き」を待ってる。(仮)



「はい、お疲れ様。今日はありがとうね」
「…いえ」



閉店後のお店の、事務所の椅子に二人して座った。


今日、話しかけようにも逃げられて話せなかったなぁ…


プライベートのこともあるけど、新作の試飲や試食…
消費期限の変更等聞きたかったのに…ことごとく逃げられていたな…



嫌われてんのか?私は。



責任者の業務を終えて、更衣室で制服から私服に着替える。


そういや、袖に抹茶ラテを盛大にこぼしたんだった…。

緑色に染まってるぜ…
帰宅したら速攻で洗濯機まわそう…。



「なんで平常心でいられるんですか」



「え?」



更衣室を出たと同時に、彼が私を見る。



「よく普通でいられますね…」



若干拗ねているような悔しいような顔をしている。



いや普通…普通もなにも、


私だって今日のヘルプが彼で凄い緊張したんだけどなぁ…。



「んー…普通ねぇ…」


「あんなことがあったわけですよ?会うの気まずいでしょ」



気まずい…までは行かないんだけど。



「別に気まずいわけじゃ…あー少しだけ緊張するかなって思ったけど…うーん」



言うほど気まずくはない…し。
セックスしてたら気まずいけど、そうでもないし。



「え、何、気まずいの?」


半分冗談で返した。


「気まずい」



あ、気まずいのね。

まぁ、2、3年の付き合いだけど…
人に甘えること、ましてや私みたいな先輩に甘えること…

したことなかったのかな。

そりゃ、気まずくなるか。
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