「好き」を待ってる。(仮)
「罰ゲームですねぇ…」

ニヤリと笑う彼。

「何すんの」

視線を合わせないように彼の肩に頭を置く。


「20秒見つめてもらいます」


なんだそれ。秒数が増えただけだし。
きっと彼にとっては凄い楽しいのだろうな!


こんなニヤニヤしてる顔見たことないぞ!


「はいスタート」


今度こそは、と見つめる…!

心を無にするのよ。

そう…最近読んだ本……ゴリラの生態についての本だったわ…

ゴリラ…ゴリラ……バナナ…
バナナ……バナナシェイク…

バナナを考えすぎて視線が上に行きそうになる。

「…まだですよ、あと10秒」


後頭部を固定され、無理やり目を合わせられた。

おわっ!!!
頭!掴まれた!!よく漫画でみるやつ!!!


数え終わった瞬間に小さなリップ音がした。


「…可愛い」

力強く抱きしめられる。

私はぬいぐるみなのかな…?

首元スンスン嗅いでくるこの男のぬいぐるみ…?

「あまり嗅がないでよ、臭いじゃん」
「…いい匂いする…甘い匂い」

甘い匂い…??

「え…香水じゃない?」
「…香水じゃない」

香水じゃないなら柔軟剤…

体臭って思いたくない…。


私の首元に顔を埋めている彼の頭を撫でた。

< 3 / 19 >

この作品をシェア

pagetop