SP警護と強気な華【完】
2章:裏切りと信頼
ーー翌日のクリスマス・イヴ
昨日の出来事が何もなかったように
カトレアは鼻歌を歌いながら
部屋のクローゼットから数枚の洋服を取り出し
全身鏡の前で合わせている。
カップルの一大イベントのクリスマス。
実は彼女もまた
数ヶ月前に生まれて初めて出来た彼氏とのデートに
心をときめかせていた。
「これでよしっと」
薄ピンクのロングスカートに
ベージュのコートと白のマフラーを組み合わせ
カップル達で賑わう街中を
軽やかな足取りで待ち合わせ場所へと向かう。
「ごめんッ!待たせちゃった!?」
「ううん大丈夫。
僕も今来たとこだから。
じゃぁ、行こうか」
「うん!」
差し出された手を取り
寄り添うように彼の隣を歩く。
"黒谷"と呼ばれる彼氏は
大学生のカトレアが通う学校の嘱託講師であり
ワイルド寄りな柊と違い
爽やかで穏やかに笑う5歳年上の好青年。
付き合ったキッカケが特別何かあったワケではない。
非常勤なのにも関わらず
大勢生徒達がいる中で
カトレアに告白し交際が始まった。