SP警護と強気な華【完】
話すキッカケを作ってもらった事により
柊も全てを話す事にした。
「知り合いとかって話じゃねーよ。
お互い”顔を見た事がある”ってレベルで
あの男との接点は、正直まったくないんだ」
「そう…ですか」
「俺、幼い頃に両親が早くに事故で死んで
施設で育ったんだけど
当時かなり荒れていて
誰も手を付けられないクソガキだったんだ」
物心がついてすぐにいきなり独りになり
まったく知らない他人と生活を共にする事に
怒りと悲しみで酷く拒絶していた柊。
小学校にあがる頃には
大人には反抗して言う事を聞かず
施設や学校の子供に怪我をさせていた。
「そんな俺を見つけて
武道を教えてくれたのが、アンタの爺さん」
「お爺様…?」
「あの爺さん
子供に武道を教える教室を開いていただろ。
そこに俺も通わせたんだ」
カトレアの護身術も、教えたのは祖父。
生きていく上で
いつか必要になる時が来るだろうからと。
「”喧嘩で人を傷つけるんじゃなくて
大切な人を護るために強くなれ”って教えてもらった」