SP警護と強気な華【完】
4章:秘密を知る男
カトレアが通う大学の冬休みが始まり
まわりの生徒達は家族で共に過ごす年末だが
彼女は荒らされた家の片づけに追われていた。
「どうして俺が手伝わされてんだ…」
普段着用しているSP専用スーツを腕まくりし
テーブルや椅子を定位置に戻しながらボヤく柊。
「だって掃除の専門業者が危ない人かもしれないじゃないですか。
もし何かを見つけられてしまったら困るでしょ?
でも柊さんなら手掛かりが見つかっても安心ですし
掃除も出来て一石二鳥」
掃除機の配線プラグをコンセントに差し込みながら
最もらしい説得をしているが、柊にはどうにも腑に落ちない。
「掃除もって…
お嬢さん、上手く俺を利用していないか?」
「そう?これも全て遺産の為ですよ」
カトレアはニコッと悪魔の微笑みを浮かべ
『早く終わらせましょ』と手を動かす催促までする始末。
「あのなぁ、俺はアンタの護衛が仕事であって
掃除屋じゃ――」
最後まで言い終わる前に掃除機の電源をオン。
けたたましい音でそれ以上の文句がかき消されていく。