SP警護と強気な華【完】
年が明けても柊からは今後の警護予定について説明される事もなく
学校が始まった―――



「黒谷先生が殺人未遂で逮捕されたって
 すごいニュースになってたけど…
 カトレアは大丈夫だったの?」

講義の1 時限目。
授業を受ける為、端に近い席へと移動しながら
仲の良い友人:カスミに振られた話によって
先日の思い出したくない過去を再確認させられた。

「あー…うん、平気。
 別れちゃったし…」

付き合っていた事を知っている友人に
まさか『その相手が私で、遺産目当てに殺されかけましたぁ』…なんて口が裂けても言えるはずがなく、つい嘘をついてしまい顔が強張る。

「あの好青年な講師が
 人を殺そうとしていたのには驚いたけど…
 変な男に騙されたね」

「…確かに。」

実際のところ
金に目が眩んでカトレアを殺そうとしたが
最初から殺意があったのかは本人しかわからない。
が、今となってはどちらも同じ。

「早く忘れる事が1番だね」

柊とまったく同じ言葉でフォローするカスミに
『そう思います』としか返せなかった。
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