SP警護と強気な華【完】
終始、厳しい表情で辺りも気にしている。

「講師として働くなんて…
 どうして教えてくれなかったんですか?」

「言う必要がないからだ」

先日までと違い素っ気ない態度で
ピシャリと言い切って突き放す柊に
なんとなく距離を感じてしまい
心臓を掴まれた思いに言葉を失った。

(いつもの柊さんじゃないみたい…)

顔も中身も本人なのに
黒谷から助けてくれて一緒に後片付けをした柊とは、まるで別人に思えない。

そんな彼にカトレアは愕然とし
その場に立ちすくんで動けないでいた…

「あれって…
 今日から新しく臨時で来た講師の先生じゃない?」

「だね。
 近くで見ると結構カッコいいじゃん?」

女子大学生が数人
柊を見つけるなり興味を持ち…

「あの人だ!
 今日から来たイケメンって!」

フッと沸いて現れた別の女性グループの中心ボスは、数人の友人を引き連れてゾロゾロと集まってくる始末。

「ちッ
 邪魔が入ったか」

舌打ちしながら
まるで悪役が言いそうなセリフを残し
その場を足早に去っていった。
< 46 / 153 >

この作品をシェア

pagetop