SP警護と強気な華【完】
囮にさせた男が攻撃に入れば
警察である柊は見逃す事など出来ない。
そうなれば必然的にカトレアの守備が薄れる。
それがシオンの狙いであった。
「ちっ
そういう事かよッ」
柊も気付いたが
もはや、時すでに…だ。
傍観しているだけの生徒達。
柊が男を捕まえている事に関しては興味を示したが、今まさに目の前で拉致されようとしている事実には誰も気にしない。
それほどシオンは
あくまで自然な形でカトレアを連れていったのだ。
大勢の人が集まる外で決行したのは
まさに彼の思惑通り。
「柊です。
ナイフを持った男を確保。
すぐに応援をお願いします。
それとすみません。
対象者が連れ去られました。
私はそちらを追いかけます」
実は密かに付けていたインカムで冷静に通達。
数分も立たずして
パトカーの音と共に待機していた数人の警官が到着。
柊は男の身柄を引き渡し追いかけようとしたのだが、すでに車で立ち去ったあと。
「クソ!
お嬢さんッ」
苛立ちを消すように
柊は近くの大木に拳を打ちつけ心を落ち着けさせた。
「必ず見つけてやる。
それまで無事でいろ…」