SP警護と強気な華【完】
2人きりと過去の記憶
その頃
シオンに連れ去れたカトレアは―――
他の警察官に見つからないように木陰に隠れていた2人だが、柊が応援を呼んだ事で待機メンバーがナイフの男の元へと駆け付けた為、監視が手薄になったタイミングを見計らってシオンは車を呼んだ。
黒のセダン車が到着し
後部座席に乗り込むとすぐに発進。
外から見えないよう全面スモークの張られた窓に
助けが来る見込みが低い事を悟った。
「どこに連れて行く気ですか」
見える景色を記憶させながら
シオンに問い掛けてみるも…
「聞いたところでどうにも出来ないんだし
聞くだけ無駄」
答える気なんてないシオンは
手元のスマホを弄っている。
「あなたには聞きたい事がたくさんある。
さっき襲ってきた人は関係ないはずなのに
どうしてあんな事をさせたんですか。
何が目的なの?」
緊張と恐怖で手が冷たくなるのを感じるが
この男の意図を知る為に気を張る。
「はぁー
まったく…」
素直に大人しくしない事に呆れたのか
スマホからカトレアに視線を移して
彼は答えた。