SP警護と強気な華【完】
しかし同時に納得もする。
金の為なら、人を殺すのも厭わない組織の人間。
そこに属するこの男には
躊躇いや迷いがあるはずがないという事を。
そしてそれがわかれば
カトレアの意志も変わる。
「…だったら…」
目を閉じて一度『ふー…』っと息を吐くと
躊躇いや迷いを払ったように目を開け、まっすぐ伝えた。
「私が死んだら
全部、終わりになりますね」
そう言って
車のドアを開けようとした―――
「ばッ、バカかッ!!」
突然のカトレアの行動に慌てたシオン。
60㎞~70㎞程のスピードが出ている車から飛び降りれば、死なないとしても当たり所が悪ければ大怪我は免れない。
そんな事はさせまいと
彼女の腕を引くが。
「放してッ」
座席に体を押さえつけようとするが
ジタバタと暴れ抵抗するカトレアに
運転している男も気が気じゃない。
「大人しくしろよ!」
”最終手段”というのか
シオンがポケットから取り出したのは
スタンガン。
「えッ…」
凶器を目の前にし言葉を失い
体に走る衝撃に意識が遠のいていった―――
※実際のスタンガンは気絶は伴いませんので
あくまでストーリー上の設定と受け止めてください。