SP警護と強気な華【完】
ガクリと急激に全身の力が抜けるカトレアを支えると、車のドア側に寄り掛からせたシオン。
「この女…無茶苦茶すぎる。
本当に死ぬ気かよ」
体の張り方が自殺行為だと
眠る彼女を見つめ、動揺を滲ませた―――
カトレアが目を覚ましたのは
それからしばらくしてからの事。
「…ん」
最初に視界に入ったのは
天井も壁もコンクリートで覆われた狭い空間。
それと共に、ひんやりとする床と揺れ動いている感覚でエレベーターの中だという事を認識する。
「…そうだッ」
意識が覚醒すると
自身に起きた出来事を思い出し体を起こした。
「やっと起きたか」
振り返ると
四隅の壁に寄り掛かった状態でスマホを弄るシオンの姿が。
いつの間にか車から降ろされ移動していたようだ。
「ここはどこ!?」
「俺の隠れ家。
だからもう命を張って逃げる事は無理」
「隠れ家…」
窓もないエレベーター。
デジタル式の表示灯は20階を過ぎていく。
(いったい何階まで行くつもりなんだろ…)
何1つ説明もないまま
上昇を続けるエレベーター。